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指紋を発見した男―ヘンリー・フォールズと犯罪科学捜査の夜明け

指紋を発見した男―ヘンリー・フォールズと犯罪科学捜査の夜明け

指紋を発見した男―ヘンリー・フォールズと犯罪科学捜査の夜明け
人気ランキング : 240484位
定価 : ¥ 1,680
販売元 : 主婦の友社
発売日 : 2005-04

価格:¥ 1,680
納期:通常24時間以内に発送
日本語のタイトルがちょっとね

十分面白い本です。
しかし、原題は「Fingerprints: The origins of crime detection and the murder case that launched forensic science」で、ヘンリーフォールズが必ずしも中心になっていないにもかかわらず、日本にゆかりの深い彼を、強引に主役のように印象付ける表題にしているのはやはりずるいような気がします。

面白い、けれども考古学的記述はあと一歩の取材を

スコットランド人医者ヘンリーフォールズは、宣教師として日本に滞在中、友人モースを手伝い大森貝塚の発掘に携わっているときに、土器に付いている指のあとの筋から『指紋が犯罪捜査に使えないか』と発想する。指紋が犯罪捜査に与えた役割はとてつもなく大きいものがあったが、それが証拠として採用されるまでにはいろいろなドラマがあった。また、指紋発見者としてフォールズが評価されるにも、紆余曲折があったのである。
科学的な犯罪捜査が始まるまでの警察の歴史が読み物風になっており、なかなか面白い。特にヴィクトル・ユゴーの「ああ無情」のモデルになったというヴィドックを扱った『悪党を捕まえる悪党』の一章など、波乱万丈。また、マーク・トゥエンの「ミシシッピの生活」の第三十一章に影響を与えたかもしれないというくだりを北村薫辺りが読んだなら、早速推理小説のアンソロジーに入れたりするかもしれない。この本には『本格』の香りがする。
ただ、指紋発見のエピソードに日本の大森貝塚が入ってくることに、(日本人としては嬉しいのだが)私は危惧を覚える。縄文土器をよく見た人ならすぐ気が付くのであるが、たとえ土器に指のあとがあったとしても、目の荒い土器には決して指紋のしの字も付かないのである。この著者は日本に来ることなくこの本を書いているが、変な伝説が一人歩きしないことを祈りたい。

サムズアップ!

電車の中でそばの人が読んでいる本や新聞をついつい読んでしまうことがある。
この本もそんなことがきっかけでたどりついた。
結論から言おう。
この一年間に読んだノンフィクションの中で最高の一冊であると。
近代に至るまで個人の同定は困難をきわめたことや、
日本に滞在していたあるイギリス人医師が日本における拇印や血判の
習慣から指紋の有用性に気がついたこと、
ダーウィンの親戚で悪名高いゴールトンにその業績を
消し去られたこと・・・
などなど初めて読む話が満載で
ページを繰る手がとまらないとはこのことだと思った。
犯罪捜査に指紋の導入をと訴え続けたフォールズの意見を
完全に無視したスコットランドヤードが、きわめて不完全な
指紋利用を導入したため、
(不完全な方法での)指紋による個人同定を否定すべく
法廷に立つはめになるくだりなど下手な映画よりずっと面白い。
訳書特有の読みにくさや不自然な表現がほとんどなく読みやすいのも感心した。
著者と訳者に(英語で言うところの)サムズアップ!という一冊です。

ふつうにおもしろい

指紋が犯罪捜査に使われるようになってまだ100年くらいしかたっていないらしい。
指紋が使われだす直前までの個人特定法の有力候補は、中指や耳の長さを測る「人体測定法」という方法だったそうだが、その方法がどういう風に開発されたのか等のエピソードにまでいちいち触れられていて、指紋とは関係ないトリビアルな知識が面白い。正直、指紋の発見についてよりもそっちのほうが面白かったです。ヴィドックさんとかでてくるし。
昔は個人の特定もままならなかったので、累犯者でも偽名を名乗れば初犯者と同じ刑罰で逃れられたとか、科学捜査が始まる前の犯罪捜査の周辺が垣間見えました。100年前のイギリスあたりの犯罪捜査に興味ある人におすすめします。

出色のノンフィクション!

 19世紀に指紋を犯罪捜査に利用することを最初に提唱したイギリス人ヘンリー・フォールズ。彼を中心に、指紋鑑定法がどのように確立されるに至ったのかを追ったノンフィクションです。今年読んだ書物の中で私は今のところ本書をベスト1にあげたいと考えるほど、群を抜く面白さです。
 フォールズは伝道師として明治初期に来日。彼が指紋に強い関心を持ったきっかけが大森貝塚です。この貝塚の発見者モースと知りあったフォールズは、発掘を手伝ううちに土器の破片の表面にうっすらと指紋が残されていることに気づきます。ここから彼は指紋を使って人物を特定するという想を得るのです。
 しかも彼は厖大な数の指紋を分類するにあたって、日本人が漢和辞典編纂に使う部首による漢字分類法を参考にします。こんなところに日本人である私は、指紋鑑定の歴史と日本との不思議な縁(えにし)を感じて胸躍りました。
 ですが指紋を使った人物同定という方法はすぐには認知されません。フランスで開発された人物測定法との優劣論争、そして指紋による科学捜査の提唱者は誰かという名誉論争が続くのです。やがて指紋鑑定法の功績は別の人物に奪われ、フォールズはイギリスの司法界から完全に無視されてしまいます。
 著者はこうした指紋による科学捜査の歴史を、専門用語を弄することなく平易にまとめています。指紋による人物同定を世間に少しずつ認めさせる上で重要な役割を果たした数々の事件を、犯罪小説さながらの緊迫感溢れる筆致で綴っています。
 フォールズの功績がその死後60年近く経過したところでアメリカ人指紋検査官2人によって再発見される終章まで一気に読ませます。あまりの面白さに頁を繰る手を休めることが全く出来ませんでした。
 翻訳も抜群。バタ臭い翻訳調は一切見られず、平易かつ流麗。この優れた翻訳家が手がけたものなら他書もぜひ読んでみたいと思わせる、文句なしの出来です。

 
 
 
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