[鏡 リュウジ・タロット占い情報館]
老いることでわかる性格の力
元型心理学と老い |
この本は、元型心理学の創始者と呼ばれ、「魂のコード」を著した、ジェイムズ・ヒルマン氏による、「老い」についての本です。「魂のコード」では、人の個性や性格は、遺伝でも環境によって決まるのでもないということが論じられますが、この本では、同様に老いを理解するには、生理学でも遺伝学などでは足りず、性格について考えなければならないとされています。本は、3つのパートによって構成され、生き続けること、逝くこと、遺されたもの、の3つの観念について、豊富な事例を挙げて説明していきます。
中でも、パート3では、性格をどう考えるか、という観点から、哲学的、道徳的に考察される性格について論じた後、本の主題であるイメージに基づいて想像される性格、についての説明があります。その中で占星術についての著者の見解も示されています。世間的には、道徳的観点から性格は善悪で判断されやすいのですが、こうした中で、占星術は性格にとって、道徳的な忠告なしに全てを説明する、隠れ場を提供していた、と著者はいいます。
著者によると、「占星術の最大の美徳は、個人の魂を元型的な力に帰す豊かな特徴を提示することにある。神話に基づくその想像力は、人間の先天的な傾向を、より深い必然性に結びつける。占星術は、イメージのなかの性格を語るのだ。」となります。道徳的な基準に基づく実用性はないとしても、隠喩的な洞察は、人生の指針として、変わらず人々の人気をかちえているとの見解が示されています。