人気ランキング : 205482位 定価 : ¥ 780 販売元 : 中央公論新社 発売日 : 2003-05-23
話は阿倍仲麻呂が唐に渡ったというところからはじめられ、陰陽師である安倍晴明が幼少のころの話が書かれている。 語り口調なので、すらすらと読み進めていけるし、前口上はじめ、時々現代に戻ったあたりは、話の先が気になりつつも一息ついたという感じでよかった。 ライバルである蘆屋道満との宮中でのやり取り、呪のやり取りはもちろん見物だが、個人的には前半部にある吉備真備が幽霊となった阿倍仲麻呂の助けを借りて詩を読んだり碁を勝負したりする場面の方が面白かったように思う。 ただ、この講釈は話の面白さやリズムなどが大切なので、史実として伝えられているものとは若干異なっている部分がある。歴史上の安倍晴明のことを知りたい人はちょっと違和感があるかも知れないので、他の本も読んでからの方が楽しめると思う。